エヌビディア2025年度第4四半期決算発表:AIブームの勢い持続も市場の期待に一抹の影

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2025年2月26日(現地時間)、半導体業界の巨人エヌビディア(NVIDIA)が2025年度第4四半期(2024年11月~2025年1月)の決算を発表した。AI革命のけん引役として注目を集める同社の業績は、市場予想を上回る好調な結果を示したものの、次期見通しに対する市場の反応は複雑だ。以下に、決算の概要とその影響を分析する。

決算のハイライト

エヌビディアの第4四半期の売上高は381億ドルに達し、前年同期比72%増を記録した。これは市場コンセンサスである381.32億ドルとほぼ一致する水準だ。一方、調整後1株当たり利益(EPS)は0.80ドルで、前年同期比61.83%増となり、アナリスト予想の0.80ドルにピタリと符合した。純利益も195億ドルと、前年比59%増で堅調な成長を維持している。

この好業績の背景には、生成AIやデータセンター向けの高性能GPUへの需要が依然として旺盛であることが挙げられる。特に、2024年11月から出荷が開始された次世代AI半導体「Blackwell」の貢献が顕著で、同社はこの製品が数十億ドル規模の収益を生み出したと報告している。CEOのジェンセン・ファンは、「AIがあらゆる産業に変革をもたらす中、当社の技術がその中心にある」と強調し、自信を覗かせた。

市場の反応と次期見通し

発表後の時間外取引では、エヌビディアの株価は一時的に下落傾向を示した。これは、第4四半期の好調さにもかかわらず、次期(2025年2~4月)の売上高見通しが市場の期待を若干下回ったためだ。同社は次期売上高を約375億ドル(±2%)と予測したが、一部のアナリストが予想していた420億ドルには届かず、成長ペースの鈍化を懸念する声が上がっている。

さらに、外部環境も注目点だ。トランプ政権下での対中輸出規制強化の可能性や、中国のAI企業DeepSeekが低コストで高性能なAIモデルを開発したとの報道が、エヌビディアの高級GPU需要に対する長期的なリスク要因として浮上している。これが投資家の不安を煽り、株価に一定の圧力をかけていると考えられる。

投資家にとってのポイント

エヌビディアの業績は、依然としてAIブームの恩恵を享受していることを示している。特にBlackwellの成功は、同社が技術革新で競争優位性を保っている証左だ。しかし、株価が過去2年間で急騰した後だけに、市場の期待値が極めて高く、わずかな見通しのブレでも失望売りを誘発しやすい状況にある。

短期的な視点では、次期見通しに対する市場の過剰反応が株価のボラティリティを高める可能性がある。一方で、中長期的に見れば、MetaやAlphabet、Amazonといったテック大手が2025年に計画する総額2450億ドルのAI投資が、エヌビディアの成長を下支えするだろう。アナリストの96.88%が「強気」と評価し、目標株価を180.42ドル(足元の株価から約28%の上昇余地)と見ている点も、ポジティブな材料だ。

結論

エヌビディアの2025年度第4四半期決算は、同社の技術力と市場ポジションの強さを改めて証明した。しかし、成長の持続性に対する市場の高いハードルと外部リスクが、今後の株価動向を左右する鍵となる。投資家は、短期的な変動に惑わされず、AI産業全体のトレンドとエヌビディアの競争力を冷静に見極める必要があるだろう。次回の決算発表まで、市場の注目は途切れることなく続きそうだ。

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